良い商品やサービスさえ用意しておけば、お客様はいずれ思い出して帰ってきてくれる…。そう思っていませんか?
実はこれ、大きな思い込みかもしれません。伊那谷の事業者に限らず、世の中の大半の事業者に該当することは「選ばれる前に、まず思い出してもらう」という視点です。LINE公式アカウントやニュースレターで顧客とつながってはいるのに反応がない、そんな悩みを持つ事業者にとって、今日から使えるヒントや要点をお届けします。
なぜ「また来たい」と思ったお客様ほど、来店してくれないのか
「また行きたい」と思いながら、実際には行っていないお店はありませんか?
嫌いになったわけでも、接客が悪かったわけでもない。「また来たいね」と友人と言い合いながら帰ってきたのに、なぜか足が向かないお店。多くの人に、心当たりがあるのではないでしょうか。
「行かない」と「行きたくない」は同じではない
お店側から見えるのは、お客様の行動だけです。来店がなければ、「もう来ないお客様」として扱ってしまいがちです。
しかし、心の中では「行きたい」と思い続けているのに、タイミングが合わずに行けていないだけ、というケースは少なくないはずです。行かないことと、行きたくないことは、まったく別の話です。
「忘れられている」という前提から始める
一度来店してくれたお客様は、すでに一度こちらを選んでくれた相手です。だからこそ、思い出してもらえさえすれば、再び来店してもらえる可能性があります。
ただし、それは「必ず来る」ということではなく、あくまで「可能性がある」という話です。時間が経つほど記憶は自然に薄れていくもので、お客様の意思が弱いからではありません。人間の性質として、忘れるのが当たり前だからです。
そのため、「覚えてくれているはず」という前提で待つのではなく、「うちのお店のことは、放っておけば忘れられる」という前提に立つことが、2回目・3回目の来店につながるかどうかの分かれ目になる、という考え方が大切です。今、選択肢はどこにでもあり、良い商品やサービスを揃えるだけでは思い出してもらえるとは限りません。だからこそ、「選んでもらう」前段階にある「思い出してもらう」ことの方が、実は重要です。
うなぎ屋さんの実例に学ぶ、思い出させるメッセージと売り込みだけのメッセージ
今回は、実際のLINE配信の実例を2つご紹介します。ひとつは、思い出すきっかけを丁寧に作れているお店。もうひとつは、売り込みだけになってしまっている残念な例です。
お客様の一言に、もう一度答える
これは、とある「うなぎ屋さん」のLINE配信です。「予約はできないんですよね?」という問い合わせがあったことを受けて、「営業時間中いつでも予約OKです」と、改めて丁寧に伝え直すメッセージが届いたといいます。
一度伝えた情報でも、お客様に伝わっていなければ意味がありません。お問い合わせという小さなサインから「伝わっていない」ことを察知し、伝え直す。当たり前のようで、なかなかできていないことです。
ストーリーが「食べたい」「行きたい」を後押しする
「〇〇が限定復活します」という配信事例です。ただ復活を告げるだけでなく、「長年お付き合いのある業者さんから、おいしいウナギを仕入れることができました」という一文が添えられていたそうです。
値段や数量だけを伝えるのではなく、背景にあるストーリーを一言添える。それだけで、単なるお知らせが「食べてみたい」と思わせる動機づけに変わります。ご主人の人柄が伝わるような、うなぎと関係のない雑談ネタも交ぜられており、商品紹介に終始しない発信でした。
「ハイボール1杯無料」だけが届く残念な例
一方で、もう一つの実例は対照的です。エンターテインメント性の高い、非常に満足度の高い飲食店でLINE登録をしたところ、届いたのは「ハイボール1杯無料」という案内だけ。しかも、それが3回続いたそうです。
お店の魅力である接客のパフォーマンスには一切触れられておらず、割引の案内だけが繰り返し届く。決して割引そのものが悪いわけではなく、それしか届かないことがもったいない、ということです。良い体験があっても、それが言葉として届けられなければ、お客様の記憶には残りにくいということです。
メッセージは「作る」のではなく、すでにある言葉から「見つける」
人は文章を作ろうと思うと、筆が止まりがち。ではどうすればいいのか、という今日から使えるちょっとした実践的なお話です。
「作らなきゃ」と思うほど、送れなくなる
「ちゃんとしたメッセージを送らなきゃ」「売上につなげなきゃ」と考え始めると、考えるほど難しくなり、何も出てこなくなる。その結果、後回しになり、送れないまま時間が過ぎていく——多くの事業者が陥りがちな悪循環です。
しかし、日々の接客の中で、事業者はすでにお客様に多くの言葉を届けています。天気の話、お手入れのアドバイス、質問への答え。対面であれば自然に話せていることを、そのままメッセージにすることが、「ネタ出し」の第一歩です。
接客で話していることを、そのまま届ける
例えば美容室であれば、「湿気の多い日は、最初に根元を乾かすとまとまりやすいですよ」と、接客中に自然に話している一言があります。それをそのまま「湿気の多い日が続いていますね。〇〇するとまとまりやすいですよ。ぜひお試しください」という形にすれば、立派な一通になります。
新しく考えるのではなく、すでに言葉にしていることを思い出す。この視点に変えるだけで、メッセージ作りのハードルはぐっと下がります。
▶ 美容室・サロンのLINE活用については、美容院のLINE活用|予約・問い合わせが増える3つの改善ポイントで詳しく紹介しています。
日々の接客中や取引先との会話をメモする
スマホやPCに向かって「さぁ、書こう」ということではなく、まずはいつもどおりの仕事をしながら、「これは」と思うことをメモするのも手です。手順は次の3ステップです。
LINEなど1回の配信であれば、選んだ1つで十分メッセージになります。
完璧でなくていい、まず送ってみる
完璧に整った言葉に仕上げてから送ろうとすると、いつまでも送れません。誤字脱字があってもいい、中途半端でもいい。まずは送ってみることの方が、整った一通を作ることよりも大切です。なので、先ほどのハイボールのお話も「やらないよりはいい」くらいです。少なくともハイボール好きな人は反応する可能性があります。
いつ、どのくらいの頻度で送ればいいのか
肝心なのが、送るタイミングと頻度についてです。
売り手都合ではなく、お客様が思い出すタイミングで
来店直後の自動返信のような「作られた感」のあるタイミングよりも、記念日や誕生日、季節の変わり目など、お客様の暮らしに寄り添うタイミングの方が、心が動きやすい傾向があります。
「今売りたいから送る」ではなく、「お客様がいつ思い出すか」を軸に考える。この視点の転換だけで、発信の中身は変わってきます。扱っている商品の周期、季節や暮らしの変化、お客様との過去のやり取りが、タイミングを見つける手がかりになります。
▶ LINEで喜ばれる配信内容の例や、タイミングを自動化するステップ配信については、伊那谷の実践者に学ぶ、Instagram・LINE・WEB広告の活用法でも紹介しています。
頻度に正解はない、続けられる形を優先する
「毎週送らないとダメ」「月1回は必要」といった正解は存在しません。実際に、2か月に1回・年6回しか発行しないニュースレターでも、ファンが多かったという実例もあります。回数の多さよりも、無理なく続けられる頻度・手段であることの方が重要です。
大切なのは、「作成する」のではなく「すでに伝えていることを届ける」という視点を持ち続けること。完璧を目指さず、無理のない頻度で、続けられる形にすることです。
▶ LINEを「売るための道具」ではなく「関係を育てるツール」として使う考え方は、売上につながるLINE活用法。新規集客より「関係を育てる」ためのツールという考え方をご覧ください。
・LINE公式アカウントを開設したものの、何を配信すればいいか分からない
・登録者は増えているのに、来店や予約につながっている実感がない
・セールの案内以外に送るネタが尽きてしまう
こうした悩みは、伊那谷の店舗・サロン経営者からもよくご相談いただきます。配信内容の設計から、導線づくりまで一緒に整理することができます。





















